アメリカンなワックスコットンジャケットの魅力を探る:英国スタイルとの違いと注目ブランド紹介

はじめに

最近、YouTubeのおすすめに上がってきたこちらの動画をきっかけに、アメリカのワックスコットンジャケットに興味を持ちました。

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ワックスコットン(オイルドコットンとほぼ同義)というと、バブアーやBelstaffに代表される英国クラシックなスタイルをイメージしてました。ですが、上記の動画でアメリカンスタイルのワックスコットンジャケットにはまた違った魅力があることを知りました。

今回は、そんなアメリカブランドの中から、個人的に気になったものについて調べた内容を備忘録としてまとめます。少し変わったワックスコットンジャケットに興味のある方の参考になれば幸いです。


英国製のワックスコットンジャケットとの違い

ブランドの紹介の前に個人的に感じた英国のワックスコットンのジャケットとの違いをまとめます。あくまで全体的な雰囲気の比較なので、例外も多数あると思いますがご了承ください。

英国のワックスコットンジャケットは、主にBarbourやBelstaffに代表されるように、雨の多い気候に適した実用性と、上品でクラシックなスタイルが特徴です。使用されている生地はBritish MillerainやHalley Stevensonsといった老舗メーカー製で、8オンス程度の軽量なワックスコットンが多く採用されています。柔らかく、しなやかな質感で、街中でも違和感なく着られるようになっています。スタイルとしての完成度が高く、乗馬、カントリー、モーターサイクルのルーツを感じさせます。

一方、アメリカのワックスコットンジャケットは、よりヘビーな使用環境を想定した設計で、ワークウェアとしての性格が強いです。ミリタリーに影響を受けた製品が多いのも特徴的だと思います。使用されている生地はMartexin(旧Martin Dyeing)やFairfield Textileといったメーカーの10オンス以上の厚手キャンバスが使われ、無骨で耐久性に優れています。街中よりも野外での着用がしっくりくるような無骨さや男臭さが魅力です。

簡単に比較表をまとめると以下のようになります。

特徴項目 英国系 アメリカ系
生地メーカー British Millerain / Halley Stevensons Martexin / Fairfield
生地の重さ 軽〜中厚(6〜10oz程度) 中厚〜重厚(10〜14oz以上)
雰囲気 上品・伝統的・カントリー感強め 無骨・タフ・ワーク感強め
スタイル 乗馬・カントリー・モーターサイクル ワーク・ウエスタン・アウトドア

FILSON(フィルソン)

アメリカ・シアトル発の老舗アウトドアブランド。創業は1897年と非常に歴史が深く、タフなギアを作り続けてきたことで知られています。 FILSONのワックスコットンジャケットは、極寒の森林地帯や苛酷な労働環境にも耐えるよう設計されており、まさに“本物志向”の一着。無骨ながら品のある佇まいも魅力です。

個人的には気になったのはショート丈の TIN CLOTH SHORT LINED CRUISER 。デザインはアメリカのワークウェア感満載で、商品ページに記載されている経年変化のサンプルもかなりカッコイイです。個人的にマイナスなポイントはバングラデシュ製で Made in USA ではなくなっていることです。定価で 7万円以上する高価なものなので、個人的に残念です。品質に変わりがなくても Made in USA と記載があったほうがテンションは上がりますからね。。。

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TIN CLOTH SHORT LINED CRUISER / ティンクロス ショート ラインド クルーザー – FILSON JAPAN

日本でもブランドを展開しているため、購入するハードルもかなり低いです。Filson Japan 公式サイトや取扱店舗から購入することができます。


BRADLEY MOUNTAIN(ブラッドリー・マウンテン)

2012年に創業したカリフォルニアを拠点とする、小規模ながらクラフトマンシップに溢れるブランドです。元々はバックパックなどのキャンプギアから始まったものの、現在ではアパレルも展開しています。アメリカでのハンドメイド生産にこだわっているブランドです。アメリカ生産にはかなりこだわっているようで、製品ページの説明にパーツごとに、どこから購入したパーツを使っているかの記載もあります。

個人的に気になっているワックスコットンジャケットは、カバーオールタイプの Cabin Jacket w/ Zipper です。アメリカのワークウェアですが、どこか上品さも感じられる絶妙なバランスです。

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Cabin Jacket w/ Zipper - Charcoal – Bradley Mountain

あと、 G-1 フライトジャケットベースの G-1 Waxed Bomber こちらもかなり良い雰囲気です。G-1 ベースのワックスコットンジャケットは初めて見ましたが、無骨で男臭い雰囲気がたまらないです。

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G-1 Waxed Bomber - Charcoal – Bradley Mountain

日本で購入する場合は、国際配送にも対応しているようなので、公式サイトから購入するのが一番簡単で確実だと思います。


FREENOTE CLOTH(フリーノートクロス)

2013年にアメリカ・カリフォルニア州サンフアンカピストラーノに設立されたメンズウェアブランドです。アメリカンヘリテージを基盤に、クラシックなデザインと現代的なシルエットを融合させた製品を展開しています。アメリカ国内の生産にこだわっているのも大きな特徴です。

個人的に気になったのは、Wrangler 111MJ にサイドポケットを追加したような Riders Jacket Waxed Canvas (通称 RJ-1) です。Wrangler やウエスタンスタイルが好きな筆者にはかなり刺さる存在です。筆者は未視聴ですが、海外ドラマの Yellow Stone でも使用されたそうです

https://freenotecloth.com/cdn/shop/files/AW23Current0727RJ1_TobaccoBrown_Interior_AW23_2c1d9aef-4427-4c21-990a-e76699e65d7c.jpg?v=1745279202&width=800

Riders Jacket Waxed Canvas | Tobacco Brown Interior

日本から購入する場合は、公式サイトから購入するのが一番簡単だと思います。公式サイトには国際配送に対応していると明記されてませんでしたが、配送先に日本を選ぶことができたので恐らく購入可能です。


Ship John(シップ・ジョン)

2006年に創業したアメリカ・オレゴン州ポートランド発のガレージブランド。代表モデルはワックスジャケットの「Wills Jacket V2」というモデルです。このジャケットはタフなワックスキャンバスを用い、ヘビーウェイトながら着込むほどに体に馴染む育てがいのある逸品。ミニマルで実用的なデザインも魅力です。

ただし、日本から公式サイトでの購入はできず、基本的には代理店経由の購入となります(海外セレクトショップから個人輸入すれば購入できる可能性もありますが未調査です)。日本国内では Wesco Japan(ウェスコジャパン) が取り扱っており、価格は16.5万円です(なお、Ship John 公式サイトの価格は 598ドルです)。前述のブランドと比べるとかなり高額になるので、価格面でハードルが高い製品です。


THEDI LEATHERS(セディ・レザーズ)

最後は番外編でかなり特別なことをやっているブランドの紹介です。 1979年に創業されたギリシャ発のブランドで、レザージャケットで有名ですが、一部モデルではワックスコットンとレザーのコンビ素材のジャケットも展開しています。芸術的な仕立ては「ワークウェア」というより、「アートピース」と言えるレベルですが、購入するにもかなりハードルが高いです。公式サイトには価格とサイズの表記がなく、個人に合わせてサイズや色などをカスタマイズしてオーダするようです(前述の動画だと、1000ドルから購入できるとのことです)。また、オーダーしてからジャケットの完成に 50-60 日かかるので、価格と時間両面でハードルが高いブランドになります。

個人的に気になったのは、A-1 フライトジャケットをデザインソースにした MTC-C127913 モデル。A-2 ではなくて A-1 ベースのジャケットというだけでもかなり珍しいですが、レザーとワックスキャンバス(1940年代の軍用のキャンパス生地にワックス加工したもの)のコンビ素材の仕立てとうのは他にはないのではないでしょうか? Web の画像だけでも特別なものであることはヒシヒシと感じるので、実物を見てみたいです。

thedi-leathers.com

また、トライアルマスターをデザインソースにした MTC-C127940 モデルも気になっています。こちらもレザーとワックスキャンバス(1940年代の軍用のキャンパス生地にワックス加工したもの)のコンビ素材の仕立てで、本家の Belstaff と比較するとミリタリー色がかなり強くなっています。他のトライアルマスタータイプのジャケットにはない「アートピース」のような雰囲気があるので、こちらもかなり気になっています。

thedi-leathers.com


おわりに

今回は、英国のクラシックなワックスコットンジャケットとは一味違った、アメリカおよびそれに準じるブランドと個人的に気になっているいくつかの製品をご紹介しました。アウトドア、ワーク、ミリタリーといった要素が前面に出た無骨な雰囲気が好きな方には気になった製品があったのではないでしょうか?

とはいえ、日本ではなかなか手に入りづらいものも多く、サイズ選びも含めてややハードルが高いのも事実です。気になるブランドがあれば、まずは公式サイトやInstagramなどで情報収集してみることをおすすめします。


おまけ

ご紹介したものはどれも魅力的な製品ですが、デザインや価格を考えると現時点の購入候補は BRADLEY MOUNTAIN の Cabin Jacket w/ Zipper と、 FREENOTE CLOTH のRJ-1 の2つです(FILSON のヴィンテージで状態の良いものがあればありだと思いますが、古着は出会いなので...)。

THEDI LEATHERS についてはかなり気になっているので、清水に飛び込む覚悟ができれば購入候補に入ると思います。諸々込みで最低でも20万円は掛かりそうなので、覚悟が決まったら無料見積もり依頼するかもしれません。